【実体験】「決して戦隊ものじゃないよ、ラスタマンとの出会い」(ジャマイカ)

1章 まずは、モンテゴベイを紹介させてください。

モンテゴベイの海

 ジャマイカというと、レゲエやボブマーリーというイメージをお持ちの方が多いのではないだろうか。たしかに、音楽やそのリズムは、海外の私たちの耳に届く程の魅力を放っている。だが、忘れてはならないのがこの島国が持つ大自然だ。この美しい環境が私を油断させたのか・・・

 

 まずは、素敵なリゾート地として名高い(特に欧米の観光客の間では定番)モンテゴベイをドクターケーブビーチという例でざっと写真で紹介しよう。

 一部のビーチは管理され、有料で質の高い空間として提供されている。現地のスタッフは黒人系だ。現在のジャマイカ人の約90%はアフリカ系の移民。主に西アフリカから砂糖のプランテーションにおける労働力としてつれて来られた歴史を持っている。

ビーチの人々

 海外からの観光客と思われる人々。ここモンテゴベイのドクター・ケーブビーチは欧米系の人々に人気がある。パラソルやチェアーが用意されているので、その人気も納得できる。

ゴーグル

 貸し出し用のゴーグルもあり、きめ細かいサービスが行き届いている。

2章 そんなこんなで、ラスタマンと出会いました。

 とまぁ、このように、モンテゴベイは最高のリゾート地としての顔を持っている。これで話が終われば平和なのだが、そうもいかなかった。その一日は、ビーチでの優雅な時間とはまた別のイメージを私に投げかけた。

 

 その日の天気は快晴。モンテゴベイの小高い丘に位置するマウントセーラム地区のホステルに宿泊して2日が経過していた。初日の警戒心は、心地よい天気と大らかな人々の雰囲気がどこかに連れ去ってしまっていた。ビーチ近くのスーパーで買い物をしにホステルを出て丘を下っていると、日本語が聞こえて来た。

 

「こんにちは。日本人!」典型的な観光客キラーではないか。例の如く、その声の方向は一切見ないように坂を下り続ける。「私、日本、住んでた!」「日本人、結婚!」ひょっとしてこれは、日本に住んでいた経験があり、奥さんが日本人で、日本人らしき私を見て話しかけたくなったパターンじゃないか?純粋に話したい人を無視するのは、私の良心が許さない。よく見るといいやつそうだな。

ドレッドヘアーの男
ドレッドヘアーの男

 その男の日本語は素晴らしいとは言い難いものの、彼が差し出した奥さんらしき日本人の写真を見たら、疑いは段々と晴れて来た。話したかんじもとてもフレンドリーだ。いかにも愉快なジャマイカ人といったかんじ。

3章 ラスタマンツアーの幕開け。

 彼は言う「俺が案内してやるよ。もちろんタダで。(満面の笑み)」すっかり心を許した私は、有り難くガイドをお願いすることにした(上機嫌)。彼は近くに止まっているタクシーに交渉し、乗り込む。私も続いて乗り込んだ。行き先は告げない。「ラスタマンは嘘をつかない。ラスタマンは最高だぜ!」そのフレーズは少なくとも4回は聞いた。「料金は本当にタダなの?」と聞くと、「Don't think about the money!(金のことは考えるな)」の一点張り。

※ラスタマン:アフリカ回帰運動を軸とした、ラスタファリ運動を実践する人々。菜食主義、ドレッドヘアーなどの特徴に代表される。ラスタファリ運動は宗教としては大成しておらず、思想運動の一種。

 

 実際、彼のツアーは現地人ならではの素晴らしい場所ばかりだった。彼が言うには、だが。ボブ・マーリーが住んでいた家(ボブ・マーリーは首都キングストンで育ったはずだが・・・)、ダム、漁師との歓談タイム、ココナッツを割って中身を食べようのコーナー。そんなこんなでツアーは終わり、日は沈みかけている。

ドライブ
ココナッツ割り
ボードゲーム

4章 雲行きが怪しくなりますよ。

 ホステルへと向かうタクシーの中で、一言。「◯◯ジャマイカドルにしよう。」・・・何?ここに来て金の請求か!最初からタダな訳が無いと分かっていたが、 それにしても高すぎる。あまりの衝撃に唖然とし、彼の顔を見ると、さっきまでのそれとは全くの別のものになっていた。険しい表情で私を見つめている。状況 が理解出来ていない、という顔で見つめ返すと、「◯◯ジャマイカドル、早く出せ。」と語調を強め出した。学生の私には厳しすぎる額だ。そして必死に抵抗し た。こんなの間違ってるよ!俺は絶対払わない!ねえそうだろ、ドライバーさん!・・・ドライバーは完全に私を無視している。そうか、こいつもグルだ!どん どんとラスタマンの興奮は高まる。「おい、今すぐ払え、さもないと殺すぞ!俺の知り合いはマフィアなんだよ。お前の泊まってる場所も分かってるしな!」宿泊場所も割れているとなると、ここでやりすごしても、あとが危ない。そしてマフィア!

くだものとラスタマン

5章 お金、足りませんけど。

 次の瞬間には、私はふと、こう言った。あ、お金が足りない。すると彼は、「カードは持ってるだろ、銀行におろしにいこう。」タクシーはすぐ近くの銀行の前 に止まった。男は、私を引っ張り出し、銀行の入り口付近にあるATMの小部屋へと連れ込んだ。その途中に居た護衛らしき人にそれとなく合図を送って異常を 知らせたつもりだったが、通じなかった。そこに入ってから気づいたのだが、私のカードにはキャッシングの機能はついていない。どの暗証番号を押しても、 キャシングは出来ませんと表示されてカードが帰ってくるばかり。男は足踏みをしながら、明らかにイライラしている。「まだか?どうした?」いやー、実は、 このカード使えないんだった。そう聞くと、男は本格的に頭に血が上り、いう言葉のレパートリーも限られてきた。大体が汚い言葉だった。なんて、語彙力のな い人なんだと思っていると、その男は「よし、今からホステルに行く。そこに金がない訳が無い。」と言い、すぐさま、私をタクシーへと引っ張って行った。

 

 ホステルに着くと、彼は、5分で金を持ってホステルの入り口へと戻ってこいと言った。私を下ろすとタクシーは走り去って行った。どうやら、5分後にまた 来て私をひろうつもりらしい。「いや、待てよ。止まったまま待つ事はしないのは、このホステルを多少警戒しているからか?マフィアが後ろ盾にあれば、堂々 と待てるはずじゃないか?」「てことは、なにひとつ恐れることなんて、ないじゃないか。」ホステルに入ると、ポットのお湯でわかした紅茶を飲んだ。すぐそ こで、スタッフの女性がパソコンをいじっていたので、聞いてみた。「なんか、変なやつに、ガイド料をとられそうになった。」すると、彼女は、検討がついた ような顔をした。そして取っておいた写真を見せる。彼女は、今度はやっぱりという表情をしている。どうやら、その男は近所で有名なほら吹きおやじとして名 を馳せているらしい。タクシーは帰ってこない。その日のよるは穏やかなものだった。

ラスタマン

6章 これが一番怖かった。

 翌朝、例の女性スタッフとあいさつをかわした際、彼女はこう言った。「昨日は運が悪かったね。払わないですんだだけよかったけど。でも、ああいうのは絶 対許さない!」正義感の強い、いい人だ。「絶対に、許さない!」こんなにまでも親身になってくれるなんて、素晴らしい人だ。「絶対に!次やったら、あいつ を殺すわ。」・・・頼もしい。いや、恐ろしい。

 

 ジャマイカのモンテゴベイに来てから、ここの人々の陽気さに魅了され続けている。それと同時に、オープンな気質が感情の爆発に繋がっていることもしばし ば見かける。ほら吹きの男が殺すと言った時、私は身の危険を感じた。しかし、腹の底から沸き上がるような恐怖を感じたのは、朝の女性の一言だった。予想外 の場所で予想外の人から聞く言葉が一番重みがあって、心にずしんと響く。そんなことを学んだ一日とちょっとだった。

 

 もし、これから、誰かにどうしても何かを伝えたいと思う事があったら、意外なやり方でやってみよう。それが一番心に響く、うん。

 

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