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世界三大瀑布の一つに数えられるビクトリアフォールズ。その豪快さは見るものを圧倒する。
威圧感に飲み込まれた私は、ただただ、それが見える位置に腰掛け、 見つめるばかりであった。
すると、目の前の流れが穏やかな水辺には楽しげに遊ぶ人々が。見るところによると、きっと現地の人だろう。私も、それに習って足首ま で浸かることにした。
ほどなく、一人の男が近づいて来て私の手をとりついてこいと言う。私の前には、同じような状況の欧米人が。
川の流れをひたすら横切って行くのだが、なにしろ足の裏が痛い。水の底のごつごつを探りながら進み、時折現れる小島のような陸地の砂利の上を、出来るだけ足裏の接触面積が狭くなるように進む。時よりバランスを崩しながらも、彼のペースについて行くため必死で足下だけに集中する。
その人の足が止まったとき、すでにまくり上げたジーンズの裾のほとんどは水を吸っていた。
そして顔を上げると、そこには驚きの光景が広がっていた。
滝が流れているところを正面から目にすることはあるが、その上から見下ろすなんて、初めての体験だ。
さっきまで、自分の足下を流れていた水は数秒後には、滝壺でしぶきを上げている。
流れて来ては消えて行く。それの繰り返し。大地を巡ってここへたどり着いた水の流れが壮大な滝の景色を作り出している。
地球は確実に生きているという底知れぬ確信が私の体中を巡った。
その姿は、人間の体内を血液が循環しているかのようだ。
彼は、滝での案内をビジネスとしている。
後に、私がお金を請求されたことは言うまでもない。