ここは、ギニアとギニアビサウの国境。両国ともアフリカの西部に位置している。乗り合いタクシーでここまでやってきたわけだが、到着したのは夕方の6時。ドライバーが言うには、国境は閉まっているので、ここで野宿するしかないらしい。
どこかに寝られるような、ちょうどいい場所はないものか。辺りを見回していると、いいものを発見した。木でつくられたベンチだ。
周りでは鳥やヤギが自由気ままに歩き回っている。早速ベンチにリュックを置いて休憩だ。どの姿勢で寝るのがよいのか、いろいろ試してみるが、なにせ、狭くてカタい。
そして、二本の木で構成されているために、まん中に隙間が出来ている。横向きに寝ると、そのくぼみに体がはまって痛い。
試行錯誤を繰り返し、仰向けがベストだという結論に至った。それでもかなり体は痛い。リュックは一応腹に抱えて寝ることにした。こちらの窮屈さもなかなかだ。
こんな状況で眠れるものなのか・・・と考える暇もなく爆睡していた。それに気づいたのも当然、次の日の朝のことなのだが。不思議なもので快適な睡眠であった。疲れが少し溜まっていたのだろう。幸い、リュックも無事。寝返りで落下した形跡もない。
そういえば・・・ドライバーはどこで寝てるんだ?あ、他の乗客は?
乗り合いタクシーでここに来た時は、他に乗客が5人ほどいた。彼らはどこに行ったのか。昨日はそんなこと気にする前に眠りについていた。
・・・と、向こうから何人か人が歩いて来た。よく見ると、乗客の彼らだ。もちろん顔は覚えている。彼らは建物から出てくる。
そうか。建物の中で寝られるようになっていたのか。「ここで寝る」という意味を野宿と捉えた私が悪かったのか。
まあ、外で気持ちよく寝る事が出来たから結果オーライであろう。建物があることを伝えようとはしてくれたはずだ、きっと。しかし、私が一瞬で眠りについてしまっただけだろう。そう思うようにしている。