【仕事への誇り】制服を着て仕事をするということ(シエラレオネ)

アフリカのタクシー・ターミナル

<2時間は待ちましょう>

アフリカでバスに乗るとき、往々にして、それは同時に列で長時間待つことを意味する。バスの出発時間の2時間、3時間前にその場に集まり、待たなくてはならない。5時間以上待つ事もざらにある。その日も例外では無かった。

 

シエラレオネの首都フリータウン。ここから、隣国ギニアへのバスに乗りたい。そこで出発前夜にバスターミナルに向かい、行き先や時間などを確認することにした。時刻は夜の9時。辺りは暗く、なるべく早く宿に帰っておきたい時間であることは言うまでもない。

 

バスの停留所にあるタイムテーブルを確認していると、係の男が話しかけて来た。バス会社のユニフォームを着た彼は、見たところ30代後半と言ったところ。明日の朝、6時出発のバスに乗りたいと伝えると、その男は苦い顔をしてこう返す。「となると、3時にはここに来てないと・・・乗れないな。」

<小金を稼ぎましょう>

黙り込んで考える私に、彼はこう続ける。「でも、俺はどうせここにいるし、暇だから列に並んでおいてあげよう。」悪い話ではないので、お願いすることにした。ひとつだけ気になったのは、予めチップを払うという事だった。すぐ側で、ベンチに座っているおばちゃんがいたので、そこまで移動し、小声で話しかけた。「あの男は、本当にここの職員ですか?」おばちゃんは頷く。近くにいた若い男も、そうだと言う。

 

それでは、ということで、職員の男にチップを払い、並んでもらうことにした。さすがに、関係のない人には、お金は払わないが、そこで働く者なら大丈夫だろう。そう思いながら、宿へと帰った。きっと彼は、アルバイト感覚で小金を稼いでいるのだろう。

<根底から変えましょう>

次の日の朝、5時30分頃にバスターミナルへ到着した。6時出発なので、余裕がある時間だ。何かがおかしい。そこにいるべきはずの人がいない。昨日の晩に契約を交わしたはずの男。彼の姿がどこにも見えない。ここまではある程度・・・予想ができた。読者の皆さんも同じだろう。しかし、もっと驚くべきことに、バス自体が存在していない。近くで座っている若い女性にバスはどうしたのかと聞いてみると、「ここからはギニア行きのバスは出ていない。」と言われる。・・・。

 

まず、制服を着ているからといって信用してはいけない。もし彼が職員ではないとしたら、簡単に制服を入手できてしまうことが問題だ。そして、もし彼が本物の職員だとしたら、事態は余計に厄介だと言える。自分の仕事に誇りを持てていない、つまり、十分に誇りを持てるような待遇を得ていないということかもしれない。

 

彼に対しての怒りを持ってもしょうがない。彼が陥っている環境に対して、それをぶつければよいではないか。そうだ、私がそれを変えよう。商売をすることで、誇りを持つ事の出来ない職場の問題を根底から変えてしまおう。・・・いいことを言っているようで、実は、自分の怒りをコントロールしているだけだが。まあ、アフリカで商売をやる上での一つの方向性は見えた。きっと、そういうことだ。

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