にわかに信じ難いが、アメリカの人気歌手、ブリトニー・スピアーズが、ソマリアの海賊行為を減少させるのに一役買ったらしい。
アフリカの東部、ソマリア近海で頻繁に起きている海賊行為を牽制するために、英国海軍が、ブリトニーらの曲を大音量で流したという。それの効果が直結しているかはわからないが、実際に、海賊行為は減少傾向にある。
英海軍将校レイチェル・オーウェンズ(Rachel Owens)氏はこう語っている。
“彼女の歌が選ばれた理由は、最も海賊が嫌いそうだから。彼らは、西洋の音楽を聞くのを非常に嫌っている。ブリトニーの人気曲は、うってつけだ。彼女の曲がかかるやいなや、海賊たちは、一目散に去っていった。”
(参考:Metro)
海賊退治に利用された挙げ句、「最もソマリアの海賊に嫌われる曲」として引き合いに出された本人は、どう感じているのだろうか。ただ、ブリトニー・スピアーズが、12月に新曲Britney Jeanのリリースをひかえている事を考えると、いい宣伝になったとしか言いようがない。
ソマリアの海賊と言えば、単純にソマリア国内の問題では収まらない影響力を持つ。
・国際海事機関(IMO)などは、2005年から増加しているソマリア沖の海賊行為に対し、公に懸念を示している。(参考:piracy in somalia)
・2010年の1月〜9月の間に間に起きた、世界中の海賊行為289件の内、その44%がソマリアの海賊に関係している。(参考:ICC Commercial Crime Services)
・2013年11月13日付けのPilot Online.comによると、アフメッド・ミューズ・サラド(Ahmed Muse Salad)氏は、2011年、アメリカ人の乗る船をハイジャックしたとされる罪で、終身刑を言い渡されている。彼は通訳を通して、“とても、申し訳ないと思っている。しかし、私は、ソマリアの海賊の一部にすぎない。”というコメントを残している。
ブリトニー・スピアーズの音楽を流したことで、一時的な効果が出たなら、うまく利用したいところだが、結局のところ、ソマリア沖の海賊行為全体を眺める視野が肝心だ。
そして、ブリトニー本人が気になっているのは、ソマリアの海賊よりも、新曲の海賊版が作成されないかどうかだろう・・・。
※こちらが、実際にソマリアの海賊に対して流された曲『Oops I Did It Again』と『Baby One More Time』。これを聴けば、逃げ出した海賊の気持ちがわかるかもしれない。