著者:Shunya Ohira(Google+)
『コナクリには、危険な匂いがある・・・。』という情報を旅先で知り合った人から入手した。コナクリはアフリカ西部の国ギニアの首都。その町コナク リはとにかく混雑していて、危険な雰囲気が漂っているらしい。ある程度警戒をしながら、バスに乗り込み、隣国シエラレオネから入国。
首都コナクリに到着し、バスから降りる。そこの雰囲気をひと言で言うなら、混雑。道路の幅は、日本の二車線道路とあまり変わらない。その両端には、簡単なつくりの屋台がひしめき、道路の中央に残っているスペースを窮屈そうに車が行き交っている。
コナクリは半島のような地形をしていているので、車が上手く流れない。その意味では、車が行き交うというよりも、車がぎゅうぎゅう詰めになっているという表現の方が適切かもしれない。
“歩道”って素晴らしい。人が安全に歩けるスペース。コナクリにはそれがない。
道路を歩くとこうなる。右には車、左にも車。日本や韓国から安く仕入れられた年季の入った車の間をジグザクに進む。サイドミラーを避け、真っ黒な排気ガスを吸い込みながら行く。間違いなく、バックパックを背負いながら歩きたくない町NO.1だ。
向こう側から歩いてくる人々は道を譲ってくれない。人の渋滞ができる。
ふと、前を歩く女性が止まった。私も止まらざるを得ない。その瞬間、後ろから人がぶつかってきた。あまりにも、勢い良くぶつかってきたので、後ろを振り返ると、中学生ほどの見た目の少年だった。
疲労とストレスが溜まっていたので、強めに怒鳴った。すると、その少年は必死に謝る。その謝り方は尋常ではない。腰を曲げ、泣きそうになりながら謝っている。まあ、強く怒りすぎてしまったのだろうということで、その少年を許して歩き始めた。
そこから30分ほど歩いて休憩をした時、バックパックを下ろすと・・・なんと、全開になっている。中を見ると財布が入っていない。ここで全てが繋がった。先ほどの子供。あの子がぶつかった瞬間にバックパックから財布を抜き取ったみたいだ。怒鳴った時に、死ぬ程謝っていたのは、盗みに対しての反省だったのだろう。
周りの人の目には、お金を盗まれても許してしまう日本人の姿が映っていたのか。今、思い返してみると、やっぱりあの時の少年の表情は異常だった。恐怖のような感情であった。あの少年は盗みを犯してしまった。
現金3万円相当を取られた事も気に食わないが、少年に盗みの経験をさせてしまった責任も感じる複雑な出来事であった。それにしても、バックパック全開で30分も歩き続けた自分が情けなさ過ぎる。
教訓:バックパックには、カギをつけましょう。もしくは、前に抱える。