著者:Shunya Ohira(Google+)
【INTRODUCTION】
「チンクエ・テッレ」は、イタリア語で「5つの土地」という意味を持ち(5=チンクエ、土地=テッレ)、イタリア北西部の地中海に面した5つの村の総称。
地中海に張り出した、そびえ立つ崖に張り付くようにして立ち並ぶカラフルな家々。海の青と岸壁の灰色、そして村の鮮やかな色彩が、美しい情景をつくりだしている。
5つの村とは、「ヴェルナッツァ」、「モンテロッソ・アル・マーレ」、「コルニリア」、「マナローラ」、「リオマッジョーレ」のことで、これらを包括的に含むエリアがチンクエ・テッレという名称で世界遺産に登録されている。
あなたのお気に入りは、どの村でしょうか?
by John DF
チンクエ・テッレの村落は、もともと11世紀に要塞都市として建設された。断崖絶壁にあることから、以後1000年にわたって、それぞれの村との行き来には船が使われていた。現在では鉄道が整備され、各集落をつないでいるので、観光客が全ての景観を楽しむことができる。
崖の上につくられたチンクエ・テッレで、人々は急斜面の固い岩盤を砕いて石垣を築き、その時に出た砂を土壌にして畑を作った。数百年かけて築かれてきた石垣の総延長は、6700 km にもなり、日本列島を往復できる距離であるというから驚き。このようにして出来た畑にぶどうを栽培し、ワインを生産することを主な産業として発展させていった。
チンクエ・テッレでつくられるワインは濃厚な味わいと香りを持つとされ、世界中から高い人気を集めている。
以下にあるのが、チンクエ・テッレの村落ひとつひとつの景観。
via Italian Villages
チンクエ・テッレを紹介する時に、頻繁に取り上げられるのが、ヴェルナッツァ。
色とりどりの建物にボートやビーチ。これらを同時に楽しむことができる景色として不動の人気を誇っている。
チンクエ・テッレの集落の中で、唯一整備された港を持っているのも、このヴェルナッツァ。
モンテロッソ・アル・マーレのビーチ by ¡Carlitos
モンテロッソ・アル・マーレのハイライトと言えば、開放感のあるビーチ。
チンクエ・テッレの中で唯一の広範囲に及ぶビーチであり、観光客や地元の人々でいつも賑いを見せている。切り立つ崖に並ぶ家々を背に優雅なひと時を楽しみたい。
モンテロッソの村は非常に小さく、新市街と旧市街に分かれており、その間をひとつのトンネルがつないでいる。ここは、レモンの木が多く栽培されていることで有名で、村の中を歩くと至る所で目にすることができる。
コルニリア by Aijse
コルニリアは、他の4つの集落とは違って、直接海に隣接していない。100mの岬の上に位置しており、三方面をブドウ園と棚田に囲まれ、もう一面は、海へと続く急斜面になっている。
コルニリアを訪れるためには、382段の石段を登るか、駅から伸びる車道を使うことになる。ここには、本数は多くないがバスが運行している。
コルニリアの村全体は、Fieschi Roadというメインロードに沿うようにできており、家々の多くが、この通りに面している。
この村で有名なのが、狭い道と棚田。棚田からは、その他4つのチンクエテッレの村落を見渡すことができる。
マナローラ by cp.calvo
チンクエテッレの中で一番古いのが、マナローラと言われており、サン・ロレンツォ教会は、1338年からの歴史を持つ。マナローラには、独自の方言があり、周囲の集落とは異なっている点も興味深い。
マナローラという名前は、「大きな歯車」という意味を由来としているようで、町の中には、水車がある。
ここの主要産業は、漁業とワイン醸造。古代ローマ時代の文献に、この地のワインの品質が優れている事が記されているほど、歴史が深い。マナローラとリオマッジョーレをつなぐ遊歩道は愛の道と呼ばれ観光客から密かな人気を呼んでいる。
リオマッジョーレ by OaklandNative
リオマッジョーレは、チンクエテッレの中で最も南にある村。この村のメインストリートは、Via Colomboで、数多くのレストラン、バーなどの店舗が軒を連ね賑わいを見せている。
リオマッジョーレは小さい町なので、簡単に歩きで見て周ることができる。
メインストリートを海の方角に進み、左手にある階段を下ると、入江へと到着する。さらに先へ行くと、海岸に沿うような上り坂があり、ここから眺めるリグリア海(地中海の一部)の景観は圧巻のひと言。